ラミネートシム(剥離式積層シム)とは
ラミネートシム(laminated shim)とは、簡単に板厚を調整できる、剥離式の積層シムです。一般的なシム調整では、現場ですき間(クリアランス)を測りながら、多数の板厚の薄板シム(スペーサー)を組み合わせて高さ調整を行います。一方、ラミネートシムを使ったシム調整は、1枚で0.05mm刻みの様々な板厚が出せるため、事前にシムを設計して製作したり、複数のシムを組み合わせたりする手間が省けます。ラミネートシムは、カッターを使って端をめくり上げてから手で剥離するだけで希望の板厚に調整ができるので、研磨コスト、社内工数も削減できます。1枚のラミネートシムで何種類もの板厚を実現できるため、いくつものシムを保管して管理する必要がなくなります。
ラミネートシムは、航空宇宙業界や産業用機械の業界など、世界中の様々な分野で採用されています。ラミネートシムは、ベアリング内輪、外輪のすき間調整に使われるベアリング用シムリング(リング型スペーサー)、モーターやピローの高さ調整に使われるベース用シム(1穴、1溝)などに利用されます。値段が手頃な真鍮、軽量なアルミ、耐酸性・耐食性に優れたステンレス、絶縁性があるPET樹脂等、様々な材質のラミネートシムがあるので、用途に合わせて適した材質を選定します。
岩田製作所のラミネートシムを使うメリット
岩田製作所は、国内で唯一、米国航空宇宙規格 AMS-DTL-22499、ドイツ航空宇宙規格 LN29557に適合した材料(Georg Martin社製)を使ったラミネートシムを標準品として販売しています。また、この材料はRoHS指令(RoHS10物質)にも対応しています。ラミネートシムは日本国内の大手自動車部品メーカー、航空宇宙関連メーカー(エアバス社、ロールスロイス社、ボーイング社向け)、光学機器メーカーに採用されてきました。様々なサイズのシムリング、ベース用シム(1溝)等の在庫を取り揃えているので、標準品であれば当日出荷できます。ラミネートシム(1穴、2穴、2溝等)のセミオーダーやシムプレートから希望の形に加工する特注品も短納期、少ロットで納品できるため、多くの企業様にご利用いただいています。
航空宇宙産業、自動車産業等では、社内の研磨機でシムリングを研磨して加工したり、自らラミネートシムを海外から取り寄せて加工したりして、シム調整(高さ調整、板厚調整)を行っている企業も少なくありません。その点、岩田製作所に注文すれば、加工済みのラミネートシムをスピーディーに仕入れられるので、コスト削減と業務効率化を実現できます。
ラミネートシムの使い方と活用法
ラミネートシムは持ち運びしやすく、工具不要、フォイル(層)をはがすだけで精度の高い板厚調整が可能です。1枚ずつ剥離することで、フォイル厚0.05mm刻みのクリアランス調整ができ、ギアやベアリングの微調整、レンズ取り付けの微調整等に活用できます。剥離する方法は、次の通りとても簡単です。
ラミネートシムの使用方法
- カッター等で端を軽くこすり上げて、フォイル(層)の1枚だけをめくり上げます。
- めくり上げた端を指でつまみ、1枚ずつ剥離します。
- 上記の工程を繰り返すことで、0.05mm単位で板厚を調整できます。(一度剥離したフォイル(層)は再接着できません。)
全面を接着したラミネートシムのほか、端面だけを接着させたベース用シム(端面ラミネートシム)もあります。0.1mm×10枚のシムが積層になっていて、1辺だけが貼り合わせてあるため、簡単にめくることができ、はがしたフォイル(層)を他のすき間調整に使うことができます。モーターベース等の芯出し、調整に利用できます。
コストダウン、業務効率化といった様々なメリットがあるラミネートシムは、今後ますます普及が進むと考えられます。岩田製作所では、ラミネートシムのラインアップを拡充していく予定です。当社の担当者は、様々なシム調整に携わってきた実績と知見があり、設計に合わせた適切なアドバイスも行えます。リーズナブルな値段で、お客様のニーズに合わせた製品を提供していますので、ぜひ岩田製作所のラミネートシムを機械製造の各分野でご活用ください。
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