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セットカラー 各部の名称・用語解説
セットカラー 各部の名称・用語解説
セットカラーとは、主に軸(シャフト)に取り付けて物を固定する機械要素部品です。一般産業用機械、設備、装置など、幅広くご使用いただいています。本記事では、セットカラーの各部の名称や用語を解説していきます。

セットカラーは大きく分けて4種類
岩田製作所のセットカラーは大きく4つの形状に分類されます。まずはそれぞれの形状を詳しくみていきましょう。
①クサビカラー®
ねじで特殊形状のクサビ(コマ)を押し付けてシャフトに固定するタイプのセットカラーです。クランプレバーと六角穴付ボルトの、2種類の締め付け方法を選択できます。品番から、SCKタイプとも呼ばれます。

②スタンダードセットカラー
六角穴付止めねじでシャフトに固定するタイプのセットカラーです。品番から、SCタイプとも呼ばれます。

③スタンダードスリットカラー®
スリット(切れ目、溝)加工がされているタイプのセットカラーです。六角穴付ボルトを締め付けることで、たわませてシャフトに固定します。締め付けてもシャフトに傷がつきにくい構造になっています。品番から、SCSタイプとも呼ばれます。

④スタンダードセパレートカラー®
セパレート(分割、すり割り)加工がされているタイプのセットカラーです。シャフトの端から通さなくても取り付けができます。締め付けてもシャフトに傷がつきにくい構造になっています。品番から、SCSSタイプとも呼ばれます。

セットカラー 各部の名称
【図A】

セットカラーの各部の名称と概要を解説していきます。
※下記の用語概要はセットカラーに関する場合の解説になります。一般的な言葉の意味と異なる場合がございます。
名称・用語 概要 内径 軸(シャフト)を通すための穴です。(図A赤色部) 外径 外周面(円柱面)です。(図A黄色部) 端面 2つの平面を指します。(図A青色部) 幅 両端面の距離(寸法)です。 ザグリ(座ぐり) ボルトの頭が出ないように空けた穴を指します。(図A桃色部)
六角穴付ボルト用のザグリは「深ザグリ」とも呼ばれます。通し穴 六角穴付ボルトを通すための穴です。(図A橙色部) タップ 締め付けねじ(六角穴付ボルト)を締め付けるためのねじ穴(めねじ)です。(図A黒色部) スリット 締め付けに必要な切れ目を入れる加工です。(図A緑色部) 対面スリット 内径の反対側に切られたスリットのことを指します。(図A緑色部右側) C面取り 製品の角部を45°削り、角を取ることを言います。
他にも、角を丸く削る「R面取り」や、必要最小限の面取りを表す「糸面取り」などがあります。外径面取り 外径と端面の間の稜線に加工されたC面取りを表します。(図A白色部) 内径面取り 内径と端面の間(内径の口元)の稜線に加工されたC面取りを表します。(図A水色部) 30°面取り スタンダードセットカラーの外径面取りで、片側のみ30°の角度で削ったものです。
品番によっては両面C面取りのみの場合もあります。面取り径 外径面取り部を除いた、端面の実質の平面部の外径です。
ベアリングの内輪を押さえる場合の目安になります。ボス(ノーズ) ベアリング固定用セットカラーの端面から出た凸型の部分を指します。 ボス径 ボス部の外径を指します。 ボス長 ボス部の長さを指します。 ロングノーズ 比較的ボス長が長いものを指します。 ショートノーズ 比較的ボス長が短いものを指します。 キー(マシンキー) 軸などに溝を加工して挿入し、回転させても滑らない(空回りしない)ようにするための部品です。 キー逃がし溝 キーが付いた軸にセットカラーを組み付けする際に、セットカラー自体がキーに干渉しないようにするための逃がし溝加工です。 キー溝 キーを差し込む穴(溝)です。岩田製作所ではJs9の公差を採用しています。 Dカット 外周部に平面加工をしたものです。
Dカット面にタップ加工をすることで、センサドグやブラケット(金具)の取り付けができます。内径ネジ 内径部にねじ加工を施したものです。
取り付ける軸がねじシャフトや寸切りボルトなどの場合に使用します。マーキング 当社のロゴマークと、セットカラーの品番をレーザー光で刻印したものです。 穴ピッチ 2つの穴の中心と中心の距離(寸法)です。 P.C.D. 「Pitch Circle Diameter」の頭文字を取ったもので、「ピッチ円直径」という意味です。
例えば、タイヤのホイールにねじ用の穴が5箇所空いているとして、その5箇所の穴の中心点を繋いでできる円の直径がP.C.D.(ピッチ円直径)になります。ダンパー ウレタン樹脂製の緩衝材です。衝突などによる衝撃を緩和します。 ちょうボルト 頭にツマミが付いたねじです。
工具を使用せずにスタンダードセットカラーの固定ができます。傷防止ねじ 先端に真鍮製のパッドが付いたねじです。
シャフトを傷付けずにスタンダードセットカラーの固定ができます。六角穴付ボルト 六角レンチを使用して締め付ける、頭部が円柱形状をしたおねじです。
キャップスクリューとも呼ばれます。六角穴付止めねじ 六角レンチを使用して締め付ける、頭部のないおねじです。
ホーローセット(スクリュー)、セットビス、イモねじとも呼ばれます。クランプレバー ねじにレバーがついたものです。
工具を使用せずにクサビカラーの締め付けができます。コマ クサビカラーで、クサビの役割をする部品です。 締付ねじ セットカラーを締め付けるための六角穴付ボルト(キャップスクリュー)を指します。
スタンダードセットカラー(SCタイプ)のねじは「止めねじ」と呼びます。止めねじ スタンダードセットカラーを締め付けるための六角穴付止めねじを指します。
六角穴付止めねじは、ホーローセット(スクリュー)、セットビス、イモねじとも呼ばれます。
その他のセットカラーのボルト(クランプレバーを除く)は「締付ねじ」と呼びます。焼き付き(かじり) ステンレスのボルトやナットを締め付けた際に起こる、摩擦熱によってねじ部が膨張し、雄ねじと雌ねじが密着して動かなくなる現象です。
ひとたび焼き付きが起こるとボルトは取れなくなり、場合によってはボルト自体が折れてしまうこともあります。ラジアル 軸に対して回転方向(直角方向、半径方向)にかかる推力のことです。
どのくらい回転方向に負荷をかけるとセットカラーが回ってしまうのかという、保持の強さを表す指標のひとつになります。スラスト 回転軸の軸方向に働く推力のことです。
どのくらい軸方向に荷重をかけるとセットカラーがずれてしまうのかという、保持の強さを表す指標のひとつになります。
最後に
このように、セットカラーに関するものだけでも、これだけたくさんの用語があります。そして、その中には他の機械要素に関わる言葉も少なからずあります。本記事でセットカラーをよりよく知っていただき、モノづくりのお役に立てていただけたらと思います。
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